主観性室
主観性の探求—私たちを私たちたらしめるものを理解する
私たちを「私たち」たらしめるものは何でしょうか? 主観性は、私たちが世界をどのように経験し、どのように目標を追求し、人生に意味を見出すかを形作ります。私たちの研究室では、哲学、運動制御理論、ロボット工学を組み合わせ、主観性の基盤を探求しています。私たちの目標は、自分自身や世界との関わりがどのようにして意味を持つのかを理解することです。
私たちは、主観性を生物学・認知・行動のダイナミックな相互作用として捉えています。機械とは異なり、人間は単に入力に反応するのではなく、目的を持って行動し、予測不能な方法で状況に適応します。意図的かつ柔軟に世界と関わることができる能力こそが、私たちの主観性を特徴づけるのです。
主観性の重要な側面の一つが、私たちが「主観的効力(subjective efficacy)」と呼ぶものです。これは、自らの意図に従って世界に働きかける能力を指します。私たちの身体は単なる物理的な構造ではなく、環境を変え、人との関係を築くための道具です。自らの行動によって環境に影響を与えることができる能力は、私たちが主体的に生きることを可能にする根本的な要素です。
私たちの研究は、この「主観的効力」を理解することに焦点を当てています。私たちは、超越論的・現象学的哲学の知見と、運動制御・心理学・ロボット工学の実験的アプローチを統合し、研究を進めています。主観性はすべての行動と認知の基盤であるため、神経筋協調や知覚‐行動の結びつき、意識的な意思決定など、さまざまな領域における主観性の役割を探求しています。
私たちのミッションは、主観性をより深く、身体化的に理解することです。これにより、人々が意図的な主体としての可能性を最大限に発揮できるようにし、私たちが世界をどのように認識し、関わっているのかについての知識を深めることを目指しています。
(c) Patrick Grüneberg 2025